ニュージーランド・デンタル・ナースと呼ばれていた職種で、2年間の教育を受けます。教育は歯科衛生士と共通する部分が多いのですが、歯科衛生士教育にはない小児歯科学と保存学の教育が追加されています。卒業生はGeneral Dental CouncilからDiploma in Dental Therapyを授与されます。
 現時点では、開業歯科医師での勤務は禁じられており、勤務先はcommunity dental cerviceか病院に限られています。Dental Therapistの診療をみると、歯科看護婦をアシスタントとして充填処置や乳歯の抜歯を行っています。
 Dental Therapistの養成学校は少なく、英国内にはWales大学、イーストマン病院と王立ロンドン病院など5個所にあります。王立ロンドン病院は歯科衛生士とDental Therapistの両方の資格がとれる少し長い教育期間の学校をもっています。

Dental Therapistの業務概要(General Dental Coucil規定)

a) 乳歯の抜歯
b) 簡単な充填処置
c)歯牙の清掃と研摩。
d)歯牙のスケーリング(薬物塗布を含む、遊離死肉縁直下や歯牙表面の沈着物や着色、付着物の除去)。
e)その時々にCouncilが決める予防材料の歯牙への塗布
f) 上記項目歯科処置の適切な実行に必要であろう37項目(局所麻酔)の実施

 Dental Therapistによる局所浸潤麻酔、または、歯科医師による局所麻酔・伝達麻酔下のDental Therapistによって行われる治療行為は、上記について認められています。

Dental Therapistの業務内容

1)歯科医師が診察を行った後に指示により
 a)乳歯の抜歯。
 b)簡単な充填処置。
 c)歯牙の清掃や研摩
 e)歯牙のスケーリング(歯牙や歯根表面の沈着物や着色)
 f)ふっ素や予防充填材の塗布。
  歯科治療士は抜歯・充填・スケーリングのための局所浸潤麻酔を歯科医師による指示書のもとに行うことができる。
2)口腔保健教育と口腔衛生の趣旨と実践に寄与する。
3)歯科レントゲン写真撮影を行う。


 歯科看護婦は歯科チームに不可欠の存在で、日本の歯科助手とは違う職種です。資格修得のための教育コースはフルタイムの一年半の期間で、毎年3月と9月に始まります。日本の歯科衛生士業務からスケーリングなどの予防処置業務をはずした職種と考えた方がいいように思います。診察室の感染予防、患者の医療記録保存業務などです。

1)診療室の清潔と感染予防の維持管理
2)診療室の室温と換気の管理
3)診療予約とリコールの管理
4)患者記録の保管
5)NHS保険診療についての熟知
6)歯科治療・口腔外科手術の介助
7)物品の在庫管理


 歯科技工士は高度の熟練を要する技術職で義歯、冠、インレー、矯正装置、骨折固定装置などを作成します。患者への直接の歯科治療は許されていません。
 教育は、いくつかの方法があります。歯科技工所に働きながら毎週何日か学校へ通う方法での5年間の教育過程。大学での3年間の教育過程。4年間の大学とNHS病院での教育過程があります。
 大学教育コースの卒業資格ではBTEC National Diploma in Sciences (Dental Technology)または Scottish Vocational Educational Cousil (SCOTVEC) Diplomaを修得することができます。

参考資料:General Dental Council, The Rolls of Dental Auxiliaries 1999.
 Curriculum for Dental Therapists.
 Curriculum for Dental Hygienists.