歯学教育システムについて収集した資料やインタビューのごく一部しかこの報告書に書き留めることはできませんでした。英語、フランス語、ドイツ語、スエーデン語、ノルウエー語の歯学教育に関しての資料は膨大なものになっています。それらを翻訳すればそれぞれが貴重な資料となるでしょう。

 収集した資料の中で特筆しておきたいのは二つあります。一つは通称Richard Reportと呼ばれている“Clinical Academic Careers. Report of an Independent Task Force”です。Richard Reportには英国内の医学部・歯学部における臨床系教官の研究遂行上の問題点や専門医制度や学位など高等教育における問題点などが詳細に調査され、その問題点の改善策などが論述されています。

 そして、もう一つはEU圏諸国の歯科事情を調査した“EU Manual of Dental Practice 1997”です。これはEUのDental Laison委員会の労作と思います。EU圏18カ国の歯科医療状況などが詳細な統計データとともに詳述されており極めて貴重な資料です。

 この二つの資料についてお伝えすることができませんでした。ともに200頁前後の報告書です。入手が困難な資料ですし、参考資料としての価値には高いものがあると思います。希望される方は御連絡ください。

 英国の歯学教育システムは、歯学部教育、卒後教育、専門医コースのいずれも現在進行形で改革されています。多くの歯学教育関係者とのインタビューで、歯学教育システムについて様々な意見を聞くことができたのは貴重なことでしたが、記録に残すことができなかったことを申し訳なく思っています。

                 平成11年10月7日
                                              辻 龍雄