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各大学でカリキュラムは異なっていますので、ロンドン市内に英国最大規模の歯学部のカリキュラムを例として取り上げました。1学年は、前期と後期の2学期制になっています。
1998年の3大学合併に伴うカリキュラムの改変が行われ、現在第1学年が新しいカリキュラムになっています。合併前にはガイズ大学とキングス大学に歯学部がありました。合併後歯学部学生数は150名になり18のグループに分けられ、小人数制の教育が行われます。
3大学ともにテムズ川の南岸に位置しています。ガイズ大学は高層ビルでロンドンタワーやロンドンブリッジ近くのテムズ川沿いにあり、キングス大学はテムズ川から離れた内部に位置しています。セントトーマス大学は国会議事堂とテムズ川をはさんだ向かい側にあります。
白い外観のセントトーマス大学はナイチンゲールが看護学校を設立した病院で、病院の一画にはナイチンゲール博物館があります。セントトーマス病院の看護婦は今でもナイチンゲール・ナースと呼ばれています。
カリキュラムの内容をみると、何月何日の何時から何時までどのようなことを教育するというところまで1年間にわたり細かく記載されています。
歯科学を生物医科学(Biomedical Sciences)と関連させるための教育であると明記し歯科学を生物医学に位置付けています。教官のEメールはホームページ上に公表され学生からの連絡に利用可能にしてあります。
歯学部1年生 (BDS 1)
BDSー1A Cell and Molcules
BDSー1B Cardiovascular, Respiratory and Renal Systems
BDSー1C Gastrointestinal System, Nutrition and Endocrinology
DBSー1D Head, Neck and DentoーSkeletal Systems
a) Cell and Molecules/Introduction course (細胞と分子生物学入門コース)
細胞と代謝の生化学、呼吸器系・心臓血管系・消化器系・内分泌系・腎臓系の細胞と組織の構造と機能。
b) Cardiovascular, Respiratory and Renal Systems. (心臓血管系、呼吸器系、腎臓系)
健康時と病気における心臓血管系・呼吸器系・腎臓系の組織構造と機能についての学習。
c) Gastointestinal, Endocrine and Nutrition. (消化器系、内分泌系と栄養)
健康時と病気における消化器系と内分泌系の組織構造と機能についての学習。
d) Head, Neck and Dento-Skeletal Systems.(頭部、頚部と歯ー頭蓋系)
歯牙発生と口腔組織を支える頭頚部の組織構築と発生。この領域に影響を及ぼす臨床的な問題の理解とともに、噛むこと、飲み込むこと、話すことなどのこの領域の正常な機能についての学習。
e) Applied Dental Sciences/Introduction course.(応用歯科科学入門編)
ここでの教育歯学生の放射線科学屋放射線的な考察の際の知識の中心となる。臨床的な歯牙形態、歯と口腔の健康管理の基準を観察し理解するなど歯科学と生物医学との関連性と臨床との接点となる知識を学習する。
f) Clinical Tooth Morphology.(臨床歯科形態学)
g) Applied Dental Science Strand Projects.(応用歯科科学)
h) Communication and Learning Course.(意志疎通と学習)
i) Biometry.(生物統計学)
j) Library Skills.(図書館の利用方法)
歯学部2年生
この1年間に基礎的なこととそれぞれの修復への応用が教えられます。
a) Neurosciences 神経科学
細胞の生化学を含む神経系の発生、構造、機能と薬理学、そして、心理学的な機能。このコースは痛みとか不安といった歯科学におけることも含めた神経系のすべての面を理解するための基礎が教育されます。
b) Oral Biology 口腔生物学
このコースは栄養と内分泌の影響を含めた生物科学の口腔と歯に関する項目をカバーする。そして比較解剖学の初歩的な知識とともに口腔外科の臨床において重要な頭蓋顔面の複雑性についての詳細な知識が教育されます。
c) Pathology 病理学
このコースは病気の結果として臓器に起きる構造的な変化(組織病理学)、(血液学や臨床生化学を含めた)病気の結果として起きる細胞と科学的な変化、病気と対抗する生体防御機構(免疫)、そして病気を起こす微小な生命の生物学(微生物学)など病気の細胞と分子レベルでの基礎が教育されます。
d) 応用歯科科学
生物医学科学を教育が適正であるか否かを全体的にまとめ、歯牙をもつ成人へ焦点があてられます。
(a) 歯科カリエス、根尖病巣、歯牙表面の欠損と歯周病が、予防と処置とともに教育されます。手術的な処置、歯牙の形成や修復が歯内療法、臨床的な診察、診断と治療計画が患者の対処方法とが一緒に教育されます。口腔内レントゲン写真撮影、放射線診断、局所麻酔といった歯科処置を関連した手技も教えられます。
(b) 生体材料の初歩が歯科材料の身体的、化学的、生物学の面を教育し、材料の選択に際してどのように考慮すべきかが教えられます。
歯学部3年生
歯科材料学
このコースは歯科材料の身体的、化学的、生物学的な特性とどのように材料を選ぶ時にどのように考慮するかを教育しこの1年間で多種類の修復と義歯への応用が教えられます。
Human Disease (人間の病気)
歯科の臨床に関して学生に症状の理解ができるように人間の病気についての十分な教育が行われます。患者の健康の維持、身体的精神的な病気の認識、緊急事態の対処方法、患者、患者の家族と患者の健康に関与している医療従事者との効果的な意志疎通の仕方の教育も含まれています。
応用歯科科学
この学年は「部分的に」歯牙のある成人に焦点が当てられます。
(a) それぞれの冠と適合した義歯への技術が、それらの治療計画と施工へ至る調整方法、口腔の健康の維持を含めて教えられます。
(b) 部分的に歯牙のある成人への機能と外観の回復のための補綴物による回復の目的、利点、欠点が教えられ、治療計画、補綴物の手入れ、支持組織、技工士との仕事も含めて教育されます。
(c) 抜歯に関連して外科の目的が教えられます。
歯学部4年生
教育は治療だけでなく年配の人々や子供たちの一般的な理解までひろげられます。
鎮静の技術の利用と特別な医学的配慮の必要性のある患者の取扱が教育されます。
a) 修復歯科学
保存歯科学、歯周病学、補綴歯科学の科目が非常に深く科目をカバーするだけでなく患者のケアに関しての方法も教えられます。
b) 歯科矯正学
顔面の成長と発育が、変化の理解と歯牙の位置と咬合を適正化する処置とともに教育されます。診断、単純な処置による治療などが教えられ、このコースは5年生まで継続されます。
c) 小児歯科学
子供の取扱かた子供の乳歯と永久歯へ影響を及ぼす病気、そして、その予防と利用が教育されます。
d) 歯科公衆衛生学、行動科学、法律と倫理学
口腔の病気のコントロールと健康の増進のために公衆衛生の趣旨が教えられます。生物学的教育が統合され歯科的ケアの社会的な心理学的な面が教えられます。さらに歯科医を取り巻く法律の枠組と歯科医の倫理的な義務が教えられます。
e) 口腔医学、病理学、外科学、治療学、放射線学
口腔外科手術に関連して教育されます。放射線の教育は口腔内外の両方の領域へ拡大されます。口腔と取り巻く組織へ影響を及ぼす病気が教えられ、口腔医学、外科学、放射線学が統合されて教育されます。
歯学部5年生
診察や診断や口腔疾患をもつ患者の治療に関連した方法などが総合的に教育されます。それらの中には特別な医学的配慮の必要な患者の対処方法も含まれています。
a) 修復学
総合的に治療することを教育されさらにスタッフとともに効果的に働く方法も教えられます。
b) 歯科公衆衛生学、行動科学、法律と倫理学
口腔組織へ影響を及ぼす全身的な状態と口腔組織へ影響する状態の非手術的な処置方法が教育されます。口腔病理、外科学、放射線学における前年に開始されたコースが継続がされ、さらに事故や緊急時の歯科学について教育されます。
c) 歯科矯正学と小児歯科学
この1年には前年に開始されたコースが継続されます。
d) 学生が選択した教育科目
すべての学生は学校によって認められた少なくとも一つの選択科目をとることが要求されます。
参考資料:
http://www.kcl.ac.uk/coming/undergraduate/ugp2000/den/den.html
http://bmsweb.lbh.kcl.ac.uk/websh...wwroot/gktbds1_BDSRegulations.htm
http://bmsweb.lbh.kcl.ac.uk/websh...wwroot/gktbds2_examinations.htm
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