(1) 開業歯科 General Dental Practice
   NHSの財源が不足し、NHSからの収入が減少。そのため自費診療を行う歯科医が増えている。

(2) 病院歯科 Hospital Dentistry (nonーacademic)
   医療技術の進歩に伴い職員数が増加。しかし、NHSからの補助金の減少しており、病院においても自費
  診療が増えている。負担が増え、働きがいがない。

(3) 大学歯科 University (academic) 
   教育の質も研究の質も年々高くなっているのに、研究をしようとする優秀な人材が不足している。教
  育も研究も5年毎に政府のHigher Education Funding Council(HEFC)によって評価されランキングがつけら
  れる。このHEFCからの予算は、(1)研究実績と(2)学生数によって影響される。
   大学の収入源は、(1)HEFC、(2)NHS、(3)Grantsである。これらの収入源が固定されたものではない
  ために常にランキングを高位に保つための努力が要求されている。


 1985年4月1日英国内で職を求める歯科医師や卒後教育を目的の歯科医師の入国規定が改正されました。EEA圏の諸国については英国内での診療が可能です。またEEA圏以外の諸国でも英国での診療が許可されている国があります。

 1999年の統計では、英国以外の国からの歯科医師数は英国内で働いている歯科医師数の13.65%(4089/29951)に達しています。
 
 GDCが毎年発行しているThe Dentists Register for 1999(1999年の歯科医師登録者名簿)をみると日本国籍の歯科医師はいません。


英国籍の歯科医師数 
25422人 (84.88%)
EEA圏の歯科医師数
1824人( 6.09%)
EEA圏外の許可された国の歯科医師
2258人 ( 7.54%)
上記以外の国籍
7人 ( 0.02%)
歯科医師総数
29951人      

                         (The Dentists Register for 1999)

英国の歯科医師免許をとったEEA(EU+ノルウエーとアイスランド)からの歯科医数


1997年 1998年
スエーデン 212 184
アイルランド 65 48
ギリシャ 12 20
イタリー 12 15
ドイツ 15 14
デンマーク 8 12
フィンランド 5 11
デンマーク 8 12
フランス 10 9
ベルギー 9 8
ノルウエー 4 5
オランダ 3 4
ポルトガル
アイスランド
合計 360 331

     (J. Scott. European context. Dental education and the British Dental Journal 186:638ー640, 1999.)

英国内で診療可能な諸国
 ・EEA諸国のprimary dental qualification(歯学部卒業資格)を有する者。
 ・オーストラリア、ニュージランド、シンガポール、香港、マルタの歯科医
  (1978年まで)。
 ・南アフリカのprimary dental qualificationを有する者。
 ・マレーシアの歯科医(1997年から)。

 上記の条件以外の国の歯科医師免許保持者は英国内においては、Statutory Examination (SE)かthe Licentiate in Dental Surgery (LDS)のいずれかの試験を受け合格しなければなりません。SEもLDSもともに英国人と結婚するか英国に永住することが受験の前提条件となります。

 1978年まで旧英国領からの歯科医師の診療を許可したのは、当時の歯科医師不足を補うためでした。この時期に日本では歯学部の増設が行われていました。

Statutory Examination (SE) 試験

 この試験は英国籍の海外の歯科医、または無期限の英国居住権を修得しようとする歯科医で歯科医資格がBDCの歯科医登録に不十分な資格の歯科医を対象にしています。

 試験は二つに別れていて、英国内の歯学部で行われます。したがって試験問題は各大学で異なっています。パート1は基礎医学に関する試験。パート2は臨床に関する試験です。この試験のレベルは英国の大学で行われているBDSのための試験と類似しています。SE試験応募者には英語の会話と筆記が十分できることが要求されます。この試験に合格した歯科医師は440名です。(The Dentists Register for 1999)

 
1998年のSE試験のパート1とパート2の試験問題を次ページに記載します。